4月5日の数字:社長になりたい人12%

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今年も新入社員が入ってくる季節。
今年の新人は、どんな希望を抱いているのでしょうか。

日経とNTTレゾナントのgooリサーチが、共同で新入社員にアンケートを行った(日経産業新聞2010年4月2日付22面)。その結果によれば、海外転勤のある会社を敬遠する傾向がみられ、さらに「社長になりたい」人がわずかに12%だったという。

そもそも出世したいと思わない人が、全体の約4分の1もいる。この数字は経営者にとっては、かなり衝撃的ではないだろうか。企業に働きながら出世したくないとをいうのでは、そもそも企業の成立基盤である資本主義と齟齬が生じるのだから。

資本主義というのは、その弊害が近年明らかになってきているとはいえ、基本的に永続的な成長をめざす考え方だ。例外はあるが、成長を止めることイコール衰退である。逆にいえば成長せずとも継続をめざすことが、最近の経営課題となりつつあるのだけれど。

ともかく上昇志向が原則であり、できるなら社員にも常に上をめざして欲しい。経営者なら、そう考えているはずだ。ところが、実態は違う。もっともまだ全体の4分の1なのだから、という反論もあるかもしれない。実際ポイントは、この出世したくない層が今後増えるのかどうかにある。

仮にこれから出世したくない人たちが増えるとどうなるか。

それはすなわち、ムダに働きたくないとか人のために働きたくないという人の増加を意味するだろう。ここが何よりの問題だ。262の法則というものがある。

全体を10とすれば、その2割は過剰にがんばって働いて全体を引っ張る層である。6割は可もなく不可もなくのゾーンで、残りの2割が会社にぶら下がる人たち。このバランスが崩れると会社も、世の中も成り立たない。

問題は、なぜ出世したくない人が増えているのか、その理由である。「新入社員が幼少から思春期までを過ごしたのはバブル崩壊後の『失われた10年間』。世の中や自分に対する不安を持つ傾向が高い(前掲紙)」ならば格差社会が進む今後、そうした傾向は強まるのではないだろうか。