4月1日の数字:タイ企業が84.2%の株式を保有

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日本の技術力は海外企業にとっては確実に武器になる。
だから、のどから手が出るほど欲しい。
そうした状況をいかに活かすことができるかが
問われる時代になっているようです。

タイ企業『の』ではなく、タイ企業『が』である。「TSA(タイサミット・オートパーツ・インダストリー)は昨年、日本の自動車プレス金型大手のオギハラに出資。現在は84.2%の株式を保有し、傘下に収める(日経産業新聞2010年3月31日付1面)」

タイはASEAN諸国の中でも、もっとも早くから自動車産業が根付いてきた。日本メーカーだけでなく、世界中の自動車メーカーが積極的に投資した結果、自動車関連産業の一大集積地となっている。

その中でも成長株の一つがTSA社。「2008年夏、TSAはオギハラと組んで、中国に自動車ボディー成型の合弁会社を設立(前掲紙)」している。整理すると2008年にオギハラとTSAは中国に合弁会社を作り、その一年後にTSAがオギハラに出資した。

84.2%の株式を持つことが、何を意味するのか。残念ながらオギハラのホームページには今のところ、TSA社が株主であることは記されていない。

資本力をつけた中国企業が、経営の厳しくなった日本企業を買収する話は、何度か聞いたことがある。しかし、タイ企業による日本企業買収(正確には買収とはいえないが)、それも日本でそれなりのポジションをキープしている企業が相手というのは初めて聞いた。

だから最初に記事を読み流したときには、オギハラ『が』タイ企業に出資したのかと思ったわけだ。

このケースから学ぶべきは、事業環境が非連続的に変化していることだろう。変化は大きく二つに分けられる。

一つは、日本という国自体が、衰退期に入ったということ。リーマンショック後の株式市場の戻り具合を見ても、あるいは変化を期待されて政権を担っている民主党のよろめきぶりを見ても、人の質の低下を見ても、日本の衰退は否定できない事実だ。

一方では、新興国の中にはこれから、日本企業を買える企業が、出てくるということ。これも、ほぼ間違いない事実と考えて良い。

こうした事業環境の変化にどう対応していくのか。新興国企業に一方的にイニシアティブを取られる形の買収ではなく、余力のあるうちに積極的に対等なアライアンスに打って出る戦略も、選択肢の一つということ。

手を打つなら、早いほうが良い。