2月4日の数字:仕事に不満を抱く人が7割

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現状に不満を持つ人が多い。
ということは、実は素晴らしいことだと思います。
なぜ、不満を持つのかを考えてみれば……。

「ものづくりの現場では実に約71%が現在の仕事に不満を抱えている(日経産業新聞2010年2月4日付15面)」。素晴らしいニュースだと思った。もちろん皮肉でも何でもない。これからの日本、まだまだ捨てたものじゃない。

このところ、新聞を見ていると(特に日経株式欄の業績発表ページあたり)、景気のよい話一色だ。上場企業に限っての話だが、上方修正だとか前年対比○○%増、あるいは赤字から一転して黒字に、といった見出しが飛び込んでくる。

そんな中での今朝の記事である。不満を抱く人が7割もいるのだ。しかも、それが日本を支えてきた、そしてこれからも支えて欲しい製造業の現場である。とりあえず、一安心ではないか。

なぜか。現状に不満があると言うことは、現状が理想像とは違うと認識していることになる。現状に満足していたら、不満を抱くはずがない。というか、それは語法的におかしい。

現状を理想ではないと意識する。その裏には「かくあるべし」という理想像がある。これが何より大切なのだ。これがもし「すでに不満すらない」という状態なら、救いようがないではないか。

だから不満があるというのは、素晴らしいことなのだ。問題は、その不満を解消するための道を造れないことにある。

「不満を感じる理由については『組織の意志決定が遅い(48.8%)』、『上司からの的確な指示が下りてこない(40.3%)』など、周囲の環境に起因する項目が上位を占めた(前掲紙)」

問題もすでに特定されている。だから、あとは解消策を考えるだけでよい。答えは簡単である。

集約すればコミュニケーションの問題である。コミュニケーションの問題は量と質の改善で、必ず解決できる。まずはコミュニケーション量そのものを増やすことが第一。だからといって上司が部下に話をするのは、絶対にダメである。

それはコミュニケーションにならない。コミュニケーションとはラテン語の言語通りに解釈するなら、あくまでも双方向でなければならない。上司が話をすると、それは一方通行にしかならない。

だから、上司はまず聞くのである。そこから部下とのコミュニケーションはスタートする。聞いてみて、いかに稚拙な意見を部下が述べたとしても絶対に否定せずに受け入れる。大切なのは、なぜ、部下がそう考えるのかを理解すること。

これがコミュニケーションの質を高める。部下の考え方に対して、フィットするような話を次の機会に上司ができるようになる。相手の考え方(考えではないことにとご注意いただきたい)を理解せずして、相手の考え方に理解できる言葉を投げかけることはできない。

これができたときに本当のコミュニケーションはスタートする。そして、ものづくりの現場で、そうしたコミュニケーションが始まったとき、日本の製造業は必ず、これからも世界の製造業をリードしていけるはずだ。