1月21日の数字:設備投資実施せず51%環境での成長戦略

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受注が激減し、価格も急降下。
金型業界はまさに土砂降りの模様だ。
しかし、だからこそ成長している企業もある。
苦境を乗り越えようとしている企業の活動から
何を学べるだろうか。

リーマン・ショックによる不況もようやく底を打った。そんな話が出ているが、現状は業界によってまだら模様のようだ。いま極めて厳しい状況に置かれているのが金型。

「日本経済新聞社が実施した第8回『金型業界に関するアンケート』で、金型受注の減少幅が拡大し、価格にも底割れ感が広がっていることが明らかになった(日経産業新聞2010年1月21日付1面)」

調査によれば2009年度には約9割弱の企業が、単価下落と売上高減少を見込んでいる。受注減の理由は、単に不景気で仕事が減ったからではない。仕事そのものは一時期に比べれば減っているとはいえ、決して無くなっているわけではないのだ。

「海外メーカーに受注が流れた(前掲紙)」からだ。もう一つ突っ込んで、なぜ海外メーカーに受注が流れたのかを問うなら「韓国や中国など海外の金型メーカーは最新鋭の金属加工機を取り入れ、日本と遜色ない制度の金型を作っている(前掲紙・15面)」からだ。

これを以て情報通信革命が背景にある、というのは言い過ぎだろうか。ある民主党議員さんから年初に教えてもらったのは、同党のベーシックな世界観が、現状を農業革命、産業革命に次ぐ第三の革命期と見なしているということ。

だからこの先日本は、より知恵の部分で世界と勝負しなければならなくなる。そのために人を育てるための投資に舵を切っている。その議員さんはこんなふうに語っていた。

では日本の金型業界に未来はないのか。十分にあると思う。業界全体としては苦境にあっても、成長している企業はある。ポイントは広げることにある。

一つの方向性としては金型製造の川上、川下に出て行くことがある。これにより設計から生産までを請け負う形を取り提案力と価格対応力を高める。もう一つは受注内容を広げること。

「金型を軸に事業領域を広げることで技術を蓄積し、取引先の多様化を図る(前掲紙)」。言うは易く行うは難しと言うなかれ。東大阪には『横請け』の伝統があるはずだ。今こそ、この伝統をフルに活かすべき時ではないだろうか。

逆にほとんどの金型企業が現状に未来を見いだせないのなら、この先を見据えて協業、提携、合同受注などで『自社単独視点』を捨てることのできる企業には今後、競争相手が減った事業環境が出現することになる。

今こそもっと『横請け』の再構築に取り組むべき時なのではないだろうか。そして中国や韓国にはおそらく真似のできない、日本人だからこそ可能な『横請け』こそが、これからの日本の強みになるのだと思う。