1月6日の数字:半値八掛けの世界に勝機

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年明け早々、日経のトップ記事は、
ホンダがインド製鋼板、トヨタも本格化という見出でした。
この流れが示唆するチャンスは、どのようなものでしょうか。

ホンダがインド製鋼板を採用する。もっとも日本市場向けのクルマにではなく、インドで生産を始める小型車用ではあるが、これは注目すべき動きだと思う(日本経済新聞2010年1月5日付朝刊1面)。なぜなら、これが今後の大きな流れへとつながる初めの一歩となるからだ。

「ホンダがインド製の鋼板を採用するのは新興国でのシェア拡大を狙った「2CV」と呼ばれる新たな戦略小型車」である。ポイントは「シェア拡大を狙った(前掲紙)」点だろう。翻って日本国内のマーケットをどう見ているのか。

あくまでも想像の域は出ないが、仮にシェア拡大を狙ったとしても量的な拡大にはそれほどつながらないはずだ。理由は単純明快で、国内マーケットは縮小する一途である。これに対して昨年、ついに世界最大の自動車マーケットとなった中国に続いてインドはどうか。

自動車市場としては急成長の有望マーケットである。つまりホンダが今回採用したインド製鋼板は、今後のホンダのパーツ採用の動きを示唆するものとも捉えられる。考えるべきは、その理由ではないか。

もちろんコストパフォーマンスが見合っているからだが、ここでコストだけに注目すると、もう一つの重要な側面を見落とす恐れがある。記事には「現地の一般消費者のニーズに合った低価格車の開発を決定(前掲紙)」とある。これだ。

深読みするなら、日本製鋼板はニーズに合っていないことになる。はっきり言ってオーバースペックということ、そのためにコスト高となるのでは本末転倒との考え方が、今回のホンダの決定の背景にある。

もちろん日本製品のハイスペックを否定するわけではない。しかし、ここではメーカー志向とユーザー志向の乖離が起こっていることも事実なのだ。中国、インドをはじめ新興国マーケットでは、コストは半値八掛け、その土俵の中でどれだけのスペックを出せるのかが勝負になる。

こうした状況は裏を返せば、本来なら日本メーカーにとって極めて有利でもあるはずではないのだろうか。なぜなら、求められているスペックは、現在のハイスペックに至る過程のどこかでクリアしてきた過去の目標値のはず。そこまで戻って、なおかつ回りの状況を見て、差別化を図る。

同時にコストも要求水準をシビアに見極めながら対応する。勝機は十分にあるはずだ。