12月2日の数字:L25配布部数10万部減

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あのリクルートが発行するフリーペーパーが苦戦しています。
その背景には、大きな時代の流れの変化がありそうです。

L25はリクルートが女性向けに発行している無料週刊誌。R25の女性版として3年前に発刊された。これを「(11月)26日から月刊化する。男性向けの『R25』はすでに10月から隔週発行に変更している(日本経済新聞2009年11月26日付朝刊15面)」。

そもそもの始まりはR25である。これは2004年7月に創刊されたフリーマガジンで、最初は確か地下鉄の駅に設置されたラックだけで配布されていたと記憶する。

こR25が超・人気となった。なぜなら、記事のクォリティが、ほかのフリーペーパーとはまったく比べものにならないほど高かったからだ。読んでおもしろい、持っていてためになる情報満載のフリペは、当然人気を集め、発行日にはたちまちラックが空になるほどだった。

ちなみにR25は東京だけ(首都圏だけ?)で配布されていたので、それ以外の地域では一部の人にしか知られていない。筆者は、このR25ゲットを東京出張の時の密かな楽しみとしていたが、タイミングがうまく合わずなかなか手に入れることができなかった。

では、なぜR25はそれほどまでに高いクォリティの記事を掲載できたのか。仕掛けは単純、要するに記事作成にコストをかけていたからだ。取材記事ならきちんと取材費をかけ、ライターにも然るべき報酬を出す。ということは、それなりのライターに仕事を出していたということだ。

さらには編集部も腕の良い人が揃っていたのだろう。つまり編集部人件費も、そこそこかけていた。

ビジネスモデルで考えるなら、エンドユーザーへの配布は無料とする。しかし質の高い情報が掲載されているから、確実に狙ったユーザーにリーチできるメディアとなる。週刊で確実に特定ユーザーにリーチできるメディアなら、やはり確実に広告が集まる。結果的にペイできる。

その通りに回っていたのだ、これまでは。ところがスポンサーサイドが変調を来した。何でもかんでもリーマンショックのせいにはしたくないが、あれが引き金となったことは間違いない。もっともあれは崖っぷちでの最後の一押しになっただけで、そもそもいつ落ちてもおかしくない状態だったという話もある。

それはさておき、ともかく無料のフリーペーパーモデルが終わりに入りつつあることは間違いないようだ。ネットというリアルな印刷物とはまったくコスト構造の異なるメディアが誕生したために、印刷メディアであるフリーペーパーは生き残れなくなった。これが真相だろう。

底流では、コストをトリガーとしたリアルからバーチャルへの相転移が起こっているのだ。次に転移を起こすメディアは何だろうか?