11月24日の数字:中国人の6割が米を抜くと考えている

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日本を抜き、世界第二位の経済大国となることが確実な中国。
勢いのある国に暮らす人々の未来観は
少子高齢化に悩む日本とは少し違うようです。

「米インテルと米誌のニューズウィークは、6割以上の中国人が「今後30年以内に技術革新で米国を抜く」と考えているとの調査結果をまとめた(日経産業新聞2009年11月18日付5面)」

この調査結果から何が読み取れるだろうか。

中国の人の現状認識とその未来像だろう。未来像については、何の根拠もなく描かれたものではなく、それなりの論拠も(たとえ感覚的なものであるとしても)あるはずだ。

まず現状認識については、謙虚に米国が上と考えていることになる。今後「抜く」というのは、そういうことだ。そして今後30年というスパンの取り方が中国らしい(質問設定がどうなっていたのかによるが)とも思う。

かつて70年代ぐらいから中国では、理数系の優れた学生をどんどんアメリカに留学させ始めた。今後の世界でコンピュータ技術が必須となることを先読みし、30年後に中国がこの分野で最先端となるためだ。一区切りとして30年ぐらいの期間を取ることが、中国的発想なのかもしれない。

その成果は確実に出ている。もちろん、そうした長期的戦略を国ぐるみでとれるのが、歴史の長い国ならではの懐の深さを感じさせるところだ。翻って日本で30年といえば、それは企業の平均寿命を表す期間として捉えられている。この彼我の差が含意するところは大きいだろう。

さらに、中国の人は今後も、今の子どもたちがしっかり学ぶと考えていることになる。もちろん日本以上のすさまじい格差社会が、現在の中国である。とはいえ経済格差が学力格差の固定化につながるとは考えていないようだ。その最大の理由は、学ぶことが格差社会の上に行くためのバイパスであるという国民的総意があるからだろう。

親が子どもを学ばせることに希望を抱いており、子どもも学ぶことが希望につながることを理解している。経済的に恵まれない人でも、いやむしろ現時点で恵まれていない人ほど、そう考えている。

残念ながら日本では、そうではないことが調査により明らかになりつつある。学びに対して意欲的なのは経済的に恵まれている層であり、格差社会の下方に置かれた親たちは学びを否定する。そこでは学びに意味を見いだせない子どもたちが、循環的に拡大再生産され学力格差と連動する形で経済格差が固定化される。

この記事では残念ながら日本のことは触れられていないが、技術革新についてはまだ中国の人も、日本の方が上だと考えているはずだ。しかしGDPでは来年、中国が日本を抜くことが確実であり、学力レベルでも中国の方が上となりつつある今、技術では10年以内ぐらいに日本を抜く、と考えている人が多数いても不思議ではない。

優秀な中国の若者たちと、どう協働体制を組んでいくのか。このテーマを考えていくことが、今後の企業生き残りのための選択肢の一つとなるのかもしれない。