11月19日の数字:輸入パーツを5%から60%に

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ホンダが二輪に関して、国境なき部品調達に乗り出す。
こうした動きは今後、加速することはあっても消えることはないだろう。
この流れの中で、何をどう考えるべきだろうか。

「従来モデルでは部品の大半を国内から調達し、輸入部品の比率は5%程度。新型車では輸入部品の割合を一気に60%まで引き上げた(日経産業新聞2009年11月17日付1面)」

ホンダの話である。日経産業の一面特集『ホンダを変える』にあった一文をじっくり読むと、衝撃的でさえある。何しろ「(これから)引き上げる」のではなく「(すでに)引き上げた」と書かれているのだから。先日、某上場企業トップの話を紹介したが、その方が危惧されていた中国シフトはすでに始まっていたわけだ。

ホンダがこうした動きに取り組んだのは、すでに1年前からだという。少なくとも二輪部品に関しては「もはや良品に国境はない(前掲紙)」とまで調達担当の常務に言わせている。さらに「日本製部品で日本で組み立てて勝てる時代ではない(前掲紙)」とも。

ここから学ぶべき二つの側面がある。一つは日本製(組み立て工程も含めて)の高コスト体質が、国際的な競争力を失いつつあると言うこと。もう一つは、これまでは「安かろう・悪かろう(という言葉自体が死語だと思うが)」と言われてきたメイド・イン・チャイナのコストパフォーマンスが十分に高まっていること。

もう一つ付け加えるなら、日本製品が新興国マーケットでは明らかにオーバースペックとなっているリスクも否定できない。品質でさえ負けなければ何とかなる、そう思ってハイスペックを追い求めてひたすら突っ走ってきた結果、後ろには誰も付いてきていなかった。そんな状況が目に浮かんできはしないか。

今後生き残りのために求められるのは、もはやカイゼンではなくイノベーションしかない。そんなフェーズに、少なくとも製造業は入ったのではないだろうか。しかもターゲットは日本マーケットではなく、新興国マーケットでのイノベーションだ。

であるなら、これまで積み重ねてきた技術力をバックボーンに持っているだけ、まだまだ日本企業の優位性はある。ゼロベースで考えた方がイノベーションは起こしやすい、確かにそんな考え方はあることは否定しない。しかし蓄積した知識を活用してもイノベーションは起こせる。

何も知識のない人と、しっかりとした知識を持つ人を比べれば、知の連鎖反応を起こせるのはどちらかは明らか。ただし、知識を持つ人ほど捕らわれがちな既成概念の枠を、自力でどう外すかが課題だ。