10月21日の数字:有休100%消化を義務に

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当たり前のようになっている残業。
これを禁止することで、新しい展開が生まれるかも。

「(イケア・ジャパンでは有給休暇の)取得は当然で、100%消化しないこと自体がおかしい(日本経済新聞2009年10月19日付朝刊5面)」。翻って日本企業をみたとき、有給休暇を100%取得しているところはどれぐらいあるだろうか。

もう25年ほど前に大学を出て初めて入った会社では「男なら有給休暇など一つも取らないのが偉い人」といった暗黙の了解があった。裏を返せば、特に男性社員のくせに有給休暇を取るなどけしからん、と考えられていたわけだ。

両親が揃って公務員だったゆえに、つくづく民間は厳しいのだなと思った記憶がある。公務員(少なくとも両親と、そのまわりにおられた公務員仲間の方々を含む)は、有給休暇は取って当たり前。昼まで休んで(=有給休暇を使って)職場に行く、なんてこともやってたように思う。

閑話休題。

イケアの話を読んで「うらやましい」と思うだろうか。フリーランスの身としては、そもそも有給休暇などないわけで基本的に関係ない話ではある。しかし、イケアの考え方にはうなずけるところもある。

「ワークライフバランスというとのんびりした印象を持つかもしれませんが、社員に要求する仕事のレベルは高い。限られた時間で成果を出す必要があるので、社員は結構きついと思いますよ(前掲紙)」とイケア・ジャパンの社長は語っている。

もしかしたら、これと正反対なのが「限られた時間内では、できるところまでしかやらない」というスタンスなのかもしれない。もし自分が経営者で、自社に揃っているのがこんな考え方の社員ばかりだったら正直恐い。

あるいは成果が出るまで時間はかけるけれども、かかった時間分だけきっちり残業代は請求する。というのも、ちょっと嫌かもしれない。なぜなら業務内容にもよるけれど、成果を出すまでの時間には個人差があるだろう。あるいは能力はあったとしても、時間外手当を稼ぐためにわざとだらだらやることもあり得る。

と考えれば、実はイケア・ジャパンの考え方は、なにも従業員に楽をさせてやろうという話ではない。むしろ、時間内にきっちり成果を出せるよう考えて仕事をし、その結果として全従業員が成長して欲しい。そんな優しさが込められたシステムなのかもしれない。

ともかく意識が仕事ぶりを変えるのは、間違いのないところ。とりあえずノー残業ウィークを試してみればどうだろう。今週は何があっても、誰一人として残業はまかり成らん。とやってみたときに、どんな結果が出るか。

本当に業務に支障が出る。意外に何も問題は起こらない。いずれの場合も、そこから御社の真の問題点があぶり出されると思うのだが、いかがだろうか。