9月28日の数字:ネットを趣味に65%の落とし穴

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新聞に掲載される各種調査結果。
大新聞だからといって、鵜呑みにするのはちょっと危険かも。

「60〜79歳のシニア層のうち、65.3%がパソコンやインターネットを趣味にしたいと考えていることが、写真共有サイトを運営するDigiBookの調査で明らかになった。ぼけ防止に役立つと答えた人も6割を超え、パソコンやネットの利用がシニア層に浸透している様子が明らかになった(日経MJ新聞2009年9月18日付7面)」

この記事だけを読むと「ああ、なるほど。お年寄りでも二人に一人以上はネットを使うようになったか。これからは彼らに対してビジネスを展開するなら、やはりネットだ」と考えるかもしれない。

さらに突っ込んで「やはりな。団塊の世代などは会社でパソコンやネットを使うことに慣れているはず。引退して時間をもてあますと、ネットに没頭するに違いない」と飛躍するのも無理ないところだ。

確かに身近な情報としても、団塊の世代がメーリングリストを使って同窓会の連絡を取り合っていると聞いたことがある。あるいは引退された方が南の島に移住し、そこで企業経営者の相談を受けてはちょっとしたアドバイスをしてコンサル料で小遣い稼ぎをしているケースも知っている。

しかし、調査データを鵜呑みにせず、必ず調査対象とその数、調査方法ぐらいは確認したい。すると、今回のデータはどう見えてくるか。

「調査は9月5、6日にネット上で実施。全国の60〜79歳の男女それぞれ400人、計800人に聞いた(前掲紙)」。これをどう読むか。

ネット上で実施したことがポイントだ。つまりこの調査の回答者は、すでにネットを使っている人である。逆に言えば、調査が実施された時点でネットを使っていない人たちは、はなから調査対象に入らない。ということはどうなるか。

ネットを使っていない人、すなわちネットを趣味にしたくないかもしれない人たちは、この調査からまるまる漏れていることになる。仮に60〜79歳の方々のうち現時点でネットを使っている人が全体の30%、使っていない人が70%だった場合には、この調査結果だけをとって「シニアの65%がネットを趣味にしたい」と考えるのは早とちりになる恐れがある。

新聞などに掲載されているデータはついつい無条件に「ほぉ〜、そうなんや」と信じてしまいがち。でも、そこは「ちょっと待て。そのデータって本当に信用できるの?」と考えることが必要だ。