9月11日の数字:太陽電池工場に1000億円投資

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社運を賭けて、1000億円の投資。
太陽電池で世界シェア1割を目指す企業とは?

電機メーカーの話ではない。1000億円もの巨額投資に踏み切ったのは昭和シェル石油、これまで太陽電池などとはまったく関係のなかった企業だ。

「(昭和シェルは)第三の工場の稼働で一気に生産能力を(従来の8万キロワットから)約100万キロワットに拡大する。国内最大手のシャープが奈良県葛城市に持つ年産71万キロワットの工場を上回り、国内最大規模になる(日本経済新聞2009年9月8日付朝刊25面)」

ガソリンスタンドから太陽電池へ。ここまで思い切った業態転換をまさに「社運を賭けた」と表現するのだろう。確かにガソリン販売の今後については、暗い話しかない。とはいえ今すぐダメになるというほど切羽詰まった状況ではないのにもかかわらずだ。

例えばいくら日本でプリウスが売れているとはいえ、道路を走っているクルマのほとんどはまだガソリンを入れている。ハイブリッドとガソリン車の比率を比べてみれば、圧倒的といえるほどガソリン車が多い。しかし、企業経営で重要なのは、三つの目を持つこと。すなわち鳥の目、虫の目、魚の目である。

鳥の目で、つまり大所高所から経営環境を考えれば、明らかな変化が見て取れるはずだ。クリーンエネルギーへのニーズの高まり、政府による後押しなどが明らかな流れとしてある。自動車メーカー自体がすでにガソリン車からハイブリッドや電気自動車、プラグインハイブリッドに舵を切っている。

虫の目で見れば、民主党政権への移行が決定的である。2020年に90年比でCO2を25%削減、これが鳩山政権のマニフェストである。この思い切った環境政策で民主・日本は世界のリーダーシップを取る戦略のようだ。もちろん経団連は反発している。だからこそチャンスがあるともいえる。多くの企業が経団連の反発に期待して手を駒ねている隙に一気に動けば相当なアドバンテージを得られるはずだ。

さらに魚の目でより大きな流れを見てはどうか。のど元過ぎればで忘れている方も多いのかもしれないが、原油価格が暴騰したのは昨年のことであり、今後も暴騰するリスクは高まりこそすれ下がるはずがない。原油という商品を扱い続けることは、とてつもなく巨大なリスクを抱えることになるだろう。

日本全体としてみれば、仮に昭和シェルが目標通り、世界で1割のシェアを取り、それに続く企業が出てくれば新たな輸出産業ができることになる。喜ばしい限りである。