ビー・ゼン社長日記 vol.5(大型機械の分解図・パーツリスト 後編)

前回まで、分解図の進めるうえでの問題点や効率的な進め方について書いてきた。

分解図を進める上で実機があるのは理想であるが、仮に自動車のエンジン実機を前にしていくら眺めていても中身がどうなっているかは分からない。
が、せっかく組み上がったエンジンをばらしながらイラストを描くのも非効率で、現実にエンジンをバラスなど不可能なことである。

そこで、組み図面で全体の構成や組み合わさる順番などを確認し、単品図面でイラストを描き上げていくのだが、目の前にある機械が10mを超えるような機械で、しかも組図面が100枚近くになる場合、いきなり多人数でかかり混乱し始めると調整するだけで苦労してしまう。
そこで私が現場に出向き、機械を前に図面整理をしながらラフスケッチを描き上げ、各パートのイラスト枚数と部品の漏れをチェックした絵コンテの様な指示書を作る。
それを制作にまわし仕上げることで、考える作業と量産するグループに分けて対応することにした。 

下調べとラフスケッチを描くという指示書作りの段階で、問題の摘出と機械への理解を深められるので、そこで発見された問題はすぐにメーカー担当者へ戻され、確実に進められると判断された分については制作チームへとまわされる流れだ。

指示書作りから始まる制作の流れは自社のノウハウであるが、一枚の分解図の見積だけで分解図・パーツリスト制作会社を判断するのは如何なものだろうか。
たとえば、メーカーの担当者がイラスト制作の人間につきっきりで機械の説明をして指示書を作り、常に目を光らせて進行状況をチェックしているとすれば、それは外注や協力会社の怠慢であり、本来専門分野でのスキルを必要とする部分からは外れているように思うのだ。

発注元には予算とスケジュールがあり、扱う製品も多種多様であり、パーツリストや取扱説明書のボリュームが各々違うのは当然で、メーカーによっては作業のほとんどを自社内でこなしているところもあり、単品イラストの発注のみにしているという所もあるほどだ。

弊社を必要とするメーカーが内製で抱えるパーツリスト・取扱説明書の作業量や、それに関わる人件費等の年間に掛かる経費の合計については詳しくは分からない。
しかしそれより安い費用で事足りるのが、必要な時に必要な量をこなす外注や協力会社であって、説明や教育がメーカーの負担となってしまってはパーツリストや取扱説明書の発注が煩わしくなっていく。

本来、当社の専門はテクニカルイラストと言われる機械のイラストを制作する専門会社であり、時代がパソコンによってすべて管理、処理されていく流れの中で、テクニカルイラストを取巻く 文字やレイアウト、3D等を使った動画等にへと業務の広がりを見せるが、機械のイラストに特化した制作体制に変わりはない。

メーカーの業務中 企画、設計、製造、販売、サービスの流れの中で、テクニカルイラストが必要であるとしても、それを描き上げることをメーカーの業務に含むのは、制作の専門性からしても技術の習得に掛かる時間や技術の汎用性、生産性に関しても効率が悪いと思われるので、まずは取説等で必要と思われるカット図一点からでもお試しいただけたらと思う。

当社は長年の経験で得た標準的な総合パーツリストの制作から、単品での部品イラストまで手がけ、その専門分野ならではの提案も含めて速やかに対応し、各々環境の違うメーカーに対する対応では、作業の進め方から価格まて納得いただけるまでお話し合いをし、信頼とパートナーシップ築きながら引き続きお付合い頂けるようつとめています。 (福島)