匠の技を持つお二人の対談

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先日、匠の技をお持ちのお二人が一同に会す場面を設定させて頂いた。
お一人は㈱小西金型工学社長の小西智實雄さん。
もう一人は仏師(仏像彫刻師)山田国行さん。

小西さんは金型製造の権威であられる。若い頃、九州から大阪に出て来られ幾つかの会社で金型技術の修業をされた後、現在の㈱小西金型工学を設立された。自動車の車体、電器製品、精密機器、更には造花などをつくる種々の金型を作って来られた。一方、山田さんは奈良仏師の系譜をひくお父さんの技を継承する2代目で、工芸高校を卒業後、仏像彫刻に従事され、主として金剛力士像、大国天像など、約1200体から1500体の修復を手がけて来られた。

そもそも今回、お二人がお会いすることになったのは、小西さんの息子さんで小西金型工学の取締役をされている小西修史さんが、昨年行われた大阪府異業種グループ交流促進協議会主催の異業種交流会「事業化交流マッチング」に参加された時に、コーディネーターの一人として出席していた私と小西修史さんが同じグループのテーブルでご一緒したご縁による。その時、色々と熱心に質問される小西さんの会社に私が興味を覚え、後日、訪問させて頂いた。

その時、お父さんの小西智實雄さんがご専門の金型とは別に、仏像彫刻のご趣味があるとお聞きしたので、そのことであれば私が山田さんという仏師さんを知っていますよ、とお伝えすると、それでは是非山田さんを紹介して欲しいという話があり、今回の対談となったもの。尚、小西さんは趣味の彫刻を活かし、寺院等へ彫刻物を寄付しておられる。

お二人のお話は仏像彫刻に関するかなり専門的な内容に踏み込んだものであり、私自身理解できない点もあったが、仏像と金型とは「彫る」という点では共通点があり、切削工具や切削刃のこと、仏像修復後の色調整、材料の割れ対策、等について、意見交換をされていた。

また、”熟練の域”においては、手加減=力の微妙な入れ方や作業するタイミング、等、言葉や文章では言い表されないものがあり、それらは体で覚えるしかない、という共通認識を持たれていることも印象に残った。更には仏像にしろ、金型にしろ、依頼人(顧客)への責任を果さなければならないと思うと、眠れない時もあるという思いも語って頂いたが、匠にもそういった側面があるのだなあと改めて感じた。

余談だが、この不況下、大黒さんの注文が多いと山田さんが言われたのを受けて、小西さんが、不況の時は大黒さんにお祈りをする人が多いからですよ、と言われていたが、早く景気回復の兆しが見えて欲しいものだと思った。

仏師 山田さんに関する以前のブログは→ここをクリック
(注)山田さんのお名前は正式には「國行」だが同氏のブログでは「国行」を用いておられるのでこれに従った。