graf代表 服部滋樹氏の右手の上には!?

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3月10日に開催された「デザイン経営のための人材とは」というセミナーに参加しました。

そこで、「関西デザインの潜在力」というテーマで基調講演をされた服部滋樹氏のお話は大変示唆に富むものでした。

服部氏は、知る人ぞ知る(私は寡聞にして存じ上げなかったが・・・恥~)家具や店舗のプロデュース&クリエイティブ集団であるgrafの代表者。

中国や韓国が着々と「デザイン立国」をめざしている一方で、(関西だけでなく)日本はデザインに関する意識が非常に乏しい。「技術力」に安住してあぐらをかいているうちに、「デザイン力」で中韓に追い越されてしまった!? 

どうすればいいのか?

服部氏が、朴訥とした感じで(谷村新司さんのように・・)お話されたのは、「デザイン」と「経済」のあるべき関係でした。

特に印象に残ったお話が2つありました。

■デザインの流れは、「人」 → 「事」 → 「物」 であるべき。

grafの場合も最初は、家具職人、映像クリエーター、シェフなど様々なジャンルの6人からスタートした。少年探偵団のように、6人のスキルがそれぞれ生きる集団であった。現在は40人のクリエーター集団になっているが、基本は変わっていない。

まず「人」ありき、そこから、「事」がうまれて、最後に「物」ができるのが理想ではないか?

しかし、現在ほとんどのデザインは、「事」 → 「人」 → 「物」になっている。 最初に「事=企画」があって、その為に必要な「人=デザイナー」を集めてきて、「物」をつくるというパターン。

これでは、経済が主人、デザインはその従者である。

出発点は「人」であるべき!

※ 私たちの中小企業でも同じかもしれない。仕事や景気に合わせて人を切り捨てたりするのではなく、まず「人」ありき。 百点満点の人間はいない。どこかに特技、長所があるはず。お互いがその能力を出し切れば、社会の役に立つ仕事を楽しくできるのではないか? そ~や! エンジニアでもそれで行こう! 役に立つ、かゆいところに手が届く、ユーザーに愛される工具を作ろうな!! (感想)

 

■さて、服部氏が、右手をさし上げられました。 

その上には何が??

服部氏@graf手のひら

 

「皆さん、私の手の上にあるものが何か想像してみてください。いくつかヒントをさし上げます。」 

「それは、丸くて、ちょうど野球やソフトボール位の大きさです。」

 

「赤が多いですが、白や黄色もあります。」

「コンピューターメーカーのロゴマークにもなっています。」

「日本では、青森県が有名です。」

「私が子供の頃、風邪をひいたときに、お母さんが磨り潰してくれて食べさせてくれた事がありました。」

「さて、何でしょうか・・・・?」

「はい、正解です。 私は一言もリンゴとは言っていませんが、大きさとか色とかの付帯情報から、それを想像することができましたね。」

「さて、リンゴをデザインする場合を考えてみましょう。」

「皆さんならどうデザインしますか? 奇抜な色のリンゴにする? 大きさを極端に変えてみますか?」

「付帯情報を変えてデザインしたとしても、機能としてのリンゴは何ら変化しません。リンゴ以上のものを伝えることはできません。」

「しかし、最期にお伝えした、母親にすりつぶしてもらった想い出・・・。これはどうでしょうか? 皆さんの心の中には、リンゴ以上のものがひろがっているのではないでしょうか?」

「デザインというものは単に付帯情報ではなく、人の心からデザインすべきものではないでしょうか。 製品にまつわる物語性をもっと重視すれば、素晴らしいデザインができると思います。」

******* 聴衆一同 シーン&大拍手 パチパチパチ! ******* 

 

■いや~服部氏の素晴らしいデザイン哲学をお聴きしました。やっぱ、心ですね。

さて、服部氏の高尚なお話のあとで本当に申しわけないのですが、少し弊社ネジザウルスのPRも・・・・

弊社のネジザウルスも「3兄妹」というシリーズ展開や、「目」ができて進化させたりと、物語性を「それなりに」アピールしようとはしておりますが、まだまだストーリーは始まったばまりです。

近日中に、ネジザウルスを更に進化させる計画がございますが、それにどのようなデザイン&物語性を持たせるか!? ご期待下さい! また何かお世話になるかもしれません!

■基調講演のあと、BMB会員でもあり京都精華大学デザイン学部の安藤眞吾教授ゼロ精工株式会社の金指社長様、株式会社ナチュラルキューブの中川社長様、神戸芸術工科大学の大田教授様によるパネルディスカッションもあり、こちらも大変参考になりました!

有難うございました!