なぜ日本人は学ばなくなったのか

「声に出して読みたい日本語」などの著作で有名な斉藤孝さんの「なぜ日本人は学ばなくなったのか」を読みました。

タイトルは「なぜ日本人は学ばなくなったのか」なのですが、この「なぜ」に関しては、あまり詳しい考察があるようには思えませんでした。第二次大戦後に(ロックミュージックなどの)アメリカ文化が流入してきたため、と結構あっさりと片付けられてしまった印象です。
また、帯にあるような”日本の「教育力」を取り戻す”方法も、具体的に提案されているわけではありません。

では、何が書かれているのか?
僕的には「教養を身につけましょう」「昔の人はみんな教養を持っていて、日本は良い国だったんですよ」と訴えているように受け取りました。

その印象に関しては、決して良い/悪いを言ってるのではないのですが、少し違和感が残ったことも事実です。

江戸自体の人々に教養があったから明治維新はうまく行った。大正/昭和の人々に教養があったから戦後の経済成長があった。と、著者は言います。確かにそのことを否定はしませんが、全肯定のように書くのはどうかな?と思うのです。

その同じ(教養があったとされる)人々によって第2次大戦は起こったわけですし、バブルの種をまいた時期にも著者のいう教養を持った人はいたはずです。

現代のことに関しても、格差が拡大している問題や、郵政民営化の問題も、現代人に教養がなくなってきているから。。。と受け取れるような記述がありますが、んじゃ、小泉氏や竹中氏には教養がないと言いたいわけ?と穿った見方をしてしまいます。
(小泉氏や竹中氏に教養があるのかないのかは僕にはわかりません)

知識や教養がある方が良い、という考えには大賛成です。
しかし、昔の人のは教養があって云々、という論理には納得いかないところがありました。
また、文中で例に出される人物にほとんど女性が登場しないことにも違和感を覚えたのでありました。

繰り返しになりますが、知識や教養がある方が良いと思いますし、自分自身知識や教養はもっと身に付けて、日々の生活に活かしたいと思います。