AIDMAからAISAS、そしてMSAASへ その3

前々回、前回と続けて「AIDMA」「AISAS」について検証してみました。
3回目の今日は、ネットの利用が一般化した現在の消費者の行動モデル「MSAAS」についてです。

なお、MSAASは私(カミシタ)の建てた仮説であり、先の「AIDMA」「AISAS」のような著名な学者や大手企業が提唱したものではありませんし、一般に認知されているものではありません。ですからこのモデルのことをどこかで話しても「はぁ?」となる可能性が大きいのでご注意下さい。
ただ、私自身はこの仮説がネットユーザーの行動を表せていると考えていますし、実際の活用ができるようさらにブラッシュアップしていきたいと考えています。
MSAASとは、Matter / Search / Agree / Action / Share の頭文字をとったもので、それぞれ下記の段階を表しています。

・各個人が課題を持つ(Matter)
・情報を検索する(Search)
・検索結果の内容に納得する(Agree)
・顧客に行動/購買を起こさせる(Action)
・顧客が商品についての情報を共有する(Share)

第1段階の Matter は、解決したい問題や、解消したい不足や不満。実現したい希望など、ネットのユーザーが抱える「思い」を意味します。

第3段階の Agree は、検索した結果に対する評価で、信頼に足るものか?評判はどうか?価格や機能は妥当か?自分に適したものか?などの納得感を意味します。

ネットユーザーは、解決したい問題や実現した事柄(Matter)がある時、ネットを検索(Search)して、検索結果の内容に納得(Agree)して、行動/購買(Action)し、その結果手に入れたものについての情報を共有(Sahre)する。
というのが、私の立てた仮説です。

AIDMA/AISAS との一番の違いは、Attention, Interest の各段階が含まれていないことですが、この理由ついては、視点の違いを挙げることができます。
AIDMAの考案者は米国の販売・広告の実務書の著作者ですし、AISASは広告代理店の電通が商標登録しています。
つまり、「誰にどのようなアプローチ(=広告)をする事で販売につながるか?」という視点で考案したモデルであることから、Attention, Interestの段階には、大きな意味があったものと思われます。

しかし、現実にはネットで検索をする際に、広告で見たことが大きな動機になることはあっても、必ずしも広告がないと検索しないというわけではなく、むしろ自分の抱える問題や欲求など(Matter)をきっかけに検索することが多いように思われます。

また、検索結果に対しても単純にヒットした結果(企業が提供する情報)から行動(Action)するのではなく、他のユーザーが共有(Share)されている情報やその内容を吟味し、納得(Agree)の上で行動/購買(Action)に至っているものと考えます。

これらの点から、AIDMA/AISASよりも、MSAASモデルの方がより現実に近い消費者の購買行動モデルであると考えています。

最後に、MSAASの行動モデルが成り立つようになった背景としては、以下のような条件が揃った事が考えられます。

・多くのユーザーがネットを利用するようになった
・自分が探したい情報はネットにあるはずだというコンセンサスができた
・個人の意見や感想を発表することが容易になり、その利用者も増えた

以上が、AIDMAからAISAS、そしてMSAASへの消費者の購買行動モデルの変遷ついての考察です。
MatterやAgreeといった言葉の使い方が良いのかどうか?(Matterだけが名詞というのも気になります(^^;)など、まだまだ検証が必要であるとは思いますが、皆さんの参考になれば幸いです。

また、こういった考えを元にすると、ホームページの作り方、コンテンツも違った見方ができるのではないでしょうか?

次回からは、このMSAASモデルの考え方に基づいたホームページの作り方を考えてみたいと思います。


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