インタビューのコツ

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偉い人、普通の人。著名人に無名人。社長さんに現場の人。大先生から学生さん、ときには幼稚園の子どもに中華人民共和国山西省大原市発電所所長さんまで。いろんな人から話を聞きまくってきた結果、掴んだインタビューのコツを少し。

インタビューってなに?


人と会って、話を聴き、記事にまとめる。そんな仕事をもう十年以上続けている。その中で気付いたことがある。インタビューというと「そんなの特殊な仕事でしょ。オレには関係ねえよ」と思われるかもしれない。


でもここは一つ、インタビューを、相手の考えていることをずるずると聞き出すこと技術と考えていただきたい。「そんなこと喋ろうとは思ってもなかったのに」といった内容まで引き出す技術がインタビューである。これならきっと営業にも使えるでしょう。あるいは女の子を口説くときにも使える(かもしれない)。


インタビューのコツは2つ。話すこと・聴くこと


まず話すためには、相手に関して手の届く範囲で得られる情報を手当り次第にインプットしておことがポイント。ちょっと面倒かもしれないけれど、この作業は欠かせない。


相手情報のインプット(=自分の中にその相手に関する引き出しを作ること)を始めれば、目にしたり耳にするいろんな情報たちが自ら進んでその引き出しに入ってくる。問題意識のインデックス効果である。


もちろん目にするテキストのすべてを「その問題意識」に関連づけて読めなどというわけじゃない。自然にそうなるのだ。普通に新聞を読んでいても、不思議と気になる記事が向こうから目に飛び込んでくる。これがおそらく問題意識を持つ効果だろう。このナチュラルインプットが話すときのバックボーンになる。


インタビューで話すコツ


そして話すコツである。話を聞くのがインタビューなのに聴き手に話すコツなどいるのか、と訝られる向きもあるかもしれないが、もちろん大切である。特に重要なのがファーストインパクト。ここで相手を話をする気にさせられるかどうかは、その後のインタビューの出来を決定的に左右する。


ポイントは「相手に合わせて、合わせ過ぎない」ことだ。


インタビュー慣れしている人から話を聴く場合などは特に要注意である。そういう相手に対して、いろんなインタビューでたぶん何度も繰り返し聴かれていることを最初に持ってくるのはいかにもマズい。


相手の立場で考えれば「また、その質問ですか。はいはい」みたいなノリになってしまう。そんなインタビューがおもしろいはずがない。話を聴く方は「すでに知っていることを確認するだけ」であり、話す方は「これまでに何回も話したことを繰り返すだけ」になるのだから。


では、どうすればいいのか。


だからといって、奇をてらい相手がまったく想像もつかないような質問をいきなり振ってもダメである。そんなの答えられるはずがないし、聴き手に対して警戒心を抱かせる恐れさえある。そこで「合わせて、合わせ過ぎないこと」が求められる。


たとえば相手がいつも聴かれている質問をほんの少しでいいから違う角度から尋ねてみるとか、誰でも答えられる質問だけれど過去のインタビューではあまり聴かれてないような質問から入るのがいい。


こうして切り出しを上手く運び相手を乗せることができれば、そこから先が真剣勝負である。


相手が話したいように話してもらう


もちろんインタビューのテーマは常に頭のてっぺんに置いておかなければならない。かといってテーマにこだわるあまり、おもしろい話に突入しようとする勢いを殺いでしまってももったいない。相手が話したがっていることを話させてあげるのが一番である。


心がけたいのは話の流れを読み、相手の考えを先回りしながら、あえて相手が言いたそうなこととは違う質問を挟むこと。


話の流れに没入して、相手と息を合わせるように聴くことに集中していると、次に相手が言うことが何となく読めてくる。そこで、相手の次の言葉を先回りして間の手として挟んであげると、インタビューは実に心地よく転がっていく。もちろん、それでたいていの場合はよい。


しかし、それでは予定調和的に過ぎて発見がないのだ。ここでいう発見とは、聴き手である自分にとっての発見だけではなく、話し手である相手にとっての発見でもある。


話してくれている相手にも発見を


要するに、せっかく一期一会のインタビューをするのだから、相手にも何かおみやげをあげたいではないか。となると話が予定調和的に完結してしまったのではおもしろくない。そこであえて不協和音をはさんでみる。もちろん、これは簡単なことじゃないかもしれない。下手すると相手を不快にさせる恐れだってある。


でも、うまくいくと相手が発見を得る。「へぇ〜。このテーマについては今までこういうふうに答えてきたけれど、こんなこともオレは考えるんだ」といった具合に相手が新たな気づきを得れば、そのインタビューはたぶん大成功だ。


インタビューはジャムセッション


常々インタビューはジャムセッションみたいなものだと思っている。テーマとコード進行が決まっていて聴き手の役目はリズムキーピング。ソロプレイヤーにどれだけのびのびと心地よくプレイしてもらえるかが、そのセッションのクオリティを決める。セッションが白熱して、新たなフレーズが生まれでもしたらベリーグッド。インタビュアーとインタビュイーが共感を得ることができる。


そのためには沈黙を恐れないこと。


インタビューで相手が黙り込んでしまうのはどうにも不安なものだ。が、そこはぐっとこらえてみよう。そこまでの流れが順調にきているのなら、その沈黙は相手が一生懸命に考えているサインである。相手は今まさに何かを発見しかかっている。やがて、ポンと弾けるように相手が言葉を紡ぎだす。「おぉ〜、そうかあ」とお互いが発見を共有する。


そんなインタビューが理想のインタビューだと思う。