社内報で次のリーダーを育てる方法

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ボトムアップからプルアップへ。組織力を高めるための方法論がドラスティックに変化しています。とはいえプルアップするためには、強力なリーダーが必要。そこで社内報制作を通じた、次世代リーダー育成法をご紹介します。

社内報制作が、なぜ次世代リーダー育成につながるのでしょうか


次世代リーダーに求められる次の4つの能力が、社内報制作を通じて培われるからです。すなわち1.情報収集能力2.企画立案能力3.コミュニケーション能力4.社内外ネットワーク構築能力


もちろん、この4つの能力に加えてリーダーシップや経営感覚、決断力さらには孤独に耐える精神力なども、次世代リーダーには欠かせません。しかし、こればかりは実際にマネジメントの現場で、恐らくは失敗を繰り返しながら身につけるしかない。


一方で上記の4つの能力はリーダーとしての基礎体力のようなもの。社内報制作はこうした基礎体力を鍛えるトレーニングとして活用できます。


では、具体的には社内報制作が、どのように4つの能力アップに役立つのでしょうか。


1.情報収集能力社内報の目的は、自社の今後の方向性を全社で共有することにあります。


従って社内報ではまず経営トップ層の考え、その背景となる環境認識などを解説する必要があります。となると社内報制作者は常にマーケティングのマクロ(PESTといいますね)分析や3C分析に自発的に取り組まなければなりません。


しかも、その時の視点はできる限り経営者に近いことが望ましい。これは強烈な知的ストレッチとなるはずです。とはいえ誰にでもこなせるタスクではなく担当者にはそれなりの資質が求められるでしょう。(だからこそ次世代リーダー候補なわけですが)


適性のある人間に、その知的好奇心を刺激する業務を課すことで、情報収集能力は飛躍的に伸びます。さらに突っ込むなら、トップの考え方が末端の社員でどう受け止められているのか。ありのままの現状を、ときにはトップに対する反論も含めて掲載できるような社内報だとなおいい。もちろん、そうした意見を直に聴くことは次世代リーダーにとって極めて貴重な体験となります。


2.企画立案能力情報収集の次のステップは、得た情報を分析し社内報の企画として落とし込むこと。


そのためにはトップの考え方、その背景となっているマクロ環境や業界・市場動向をまず自分なりに咀嚼しなければなりません。然る後に自分の中で消化した内容を、社員にわかりやすい表現へと組み立て直す作業が企画です。メインの特集に相当する部分であり、何度もブラッシュアップを重ねる必要があるでしょう。


これは企画を練り上げる作業とまったく同じです。ある課題が与えられ、その課題を解決するために企画を考える。そのために課題解決に役立ちそうな情報を集め、集めた情報を分析した上でアイデアをひねり出す。そして自分のアイデアを相手にわかるように表現する。こうした力が社内報の企画作りを通して養われます。


3.コミュニケーション能力コミュニケーションすなわちインプット&アウトプット能力です。


インプットはさまざまな公開情報を取り込むことに加えて、いかに人から生の情報を得られるかがポイント。自社ユーザーやノンユーザーに対して、あるいはパートナー企業へのインタビューを行なう。さらに異業種で「これは」と思う企業があれば、積極的に話を聴きにいく。


インタビューを申し込む際に「社内報制作のため」という大義名分は極めて効果的。通常の取材を拒否している企業でも受け入れてくれる可能性があります。優れたインタビュアーになるためには経験を積むことが何よりの王道。経験に裏打ちされた聞き上手になることこそコミュニケーションの達人への第一歩です。


インプットされた情報は、わかりやすい表現としてアウトプットされる必要があります。すなわち記事作成です。目標は、井上ひさし氏にならって「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」としましょう。これをいつも心がけることで文章力はもちろん、わかりやすく話す力も鍛えられます。


4.社内外ネットワーク構築能力社内外へのインタビュー、取材を通じて自然に人脈が広がることは当然として、社内報制作者ならではの特筆すべきメリットがあります。


それは特に社外の方で、通常ならなかなか逢えないクラスの人からの知己を得られる可能性が高いこと。たとえばエクセレントカンパニーを取材すれば、対応してくれる相手はそれなりのポジションにある人物となるでしょう。そこで築かれる相手企業の幹部もしくは幹部候補生とのコミュニケーション回路は、社内報担当者のみならず全社的にも貴重な財産となります。


一方で社内のあらゆるセクションに気軽に入っていけるのも、社内報制作者ならではのメリットです。そこで得られる人脈は、次世代リーダーの将来にとってとても重要なリソースとなります。


一時、社内報などはイントラネット上で公開すれば十分だという意見が大勢を占めた時期がありました。現在なら社内ブログや社内SNSの活用もありです。加えて特定の視点から一本筋の入った編集を加えたメディアとして社内報があれば、社内の情流はより活性化されるはず。そこで社内報にそれなりのコストをかけるなら、その制作過程をも活用すべきだと思います。


社内報制作を次世代リーダー育成のためのプログラムとする。そんな視点で社内報を一度、見直されてみてはいかがでしょう。


リーダー育成のための社内報制作、コミュニケーション研究所がお手伝いします。