Amazonのおもてなしは世界一

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キーワードは「おもてなし」。日産TEANAのCMである。最近はスーパーでも、ひと手間かけたおもてなしをする店が人気を集めているという。なぜ、今どき「おもてなし」なのか。その答はAmazonにある。

微に入り細を穿つ


来店するたびに、私のことをきちんと覚えていてくれる。フルネームであいさつをしてくれる。前に来店したときに何を買ったかをちゃんと記憶していて、「こういう商品なら、私がきっと欲しがるんじゃないだろうか」と思える新商品を律儀にメールで教えてくれる。


もちろん、お店に行くたびに「こんなのもオススメだと思うのですが」とさりげなく見せてくれる。しかもちゃんと「おすすめの理由」まで説明してくれる。


買い物自体は、とってもかんたんでラクチン。しかも、そのイージーさは時を経るごとにどんどんブラッシュアップされている。まるでどうすれば、こちらの手間を省けるかをいつも一生懸命に考えてくれているようだ。おかげで届け先などは一度入力すれば、それでOK。だからといって「今回のお届け先は、こちらでよろしいですね」と確認する手間を省いたりはしない。


その上「もしかして、ギフトになさりたいのでは?」とたずねてもくれる。ギフトにしたい場合は、それなりのラッピングをしてくれるのだ。


発注時には、だいたいではあるが荷物がいつ届くかがわかる。仮に急いでいるなら、スピード配達のオプションで頼めば良い。まさに至れり尽くせりである。


これだけの接客をしてくれるお店がいま、どれぐらいあるだろうか。だからといって、こちらは一回の買い物に何十万円も使うセレブ客ではまったくない。使っても精々が5000円ぐらいである。


おもてなしの進化形は「Omotenashi」


つらつらと書いてきたのは、いずれもAmazonの話だ。Amazonは、「世界最強の顧客主導型企業」をビジョンに掲げている。この企業の偉大なところは、そのビジョンを常に全社で意識し、システムのブラッシュアップを不断に続けていることだ。


もし、あなたがAmazonユーザーなら、何年か前のシステムを少し思い出していただきたい。その頃と比べてみて、いまのAmazonはどれだけ進化しているだろうか。あるいは、少し視点を変えてこう問いかけてもみたい。この数年でAmazonほど使い勝手がよくなったサイトが他にどれぐらいあるだろうか。


日本には『楽天』がある。が、楽天とAmazonを「おもてなし」という基準で比べてみれば、その差は一目瞭然。違いはいろいろあるが、その差がもっともよく表れているのがメルマガだろう。Amazonのオススメメールはあくまでも控えめである。これに対して楽天のメルマガはしつこく、くどく、うるさい。このあたりは個人的な感覚なので、異なる意見をお持ちの方も、いらっしゃるはずだ。楽天型のオススメ満載メールを好ましく思われる方だってもちろんいるだろう。好みの問題ではあるけれど、奥ゆかしさと言った本来なら日本的な感性を備えているのはAmazonの方ではないか。


そのあたりの配慮が、今ひとつ楽天には欠けているように思う(あくまでも個人的見解に過ぎないけれど)。また、楽天メールは解除するのが非常に面倒でもある。というかケータイに送られてくるメールを解除するのは至難の業といっていい。それ故「こんなメールいらないんですけれど」と思いながらも、送られてくるたびに速攻削除しているにも関わらず、未だに解除できなかったりする。Amazonの控えめなOmotenashiがよく見えてしまう所以である。


相手のことを思えばこそのOmotenashi


「もてなし」とは、広辞苑によれば次のように記されている。
1.とりなし。とりつくろい。たしなみ。
2.ふるまい。挙動。態度。
3.取扱い。あしらい。待遇。
4.馳走。饗応。


この言葉がビジネスで使われる場合の意味は、主に3の「待遇」となるはずだ。ただし「たしなみ」や「ふるまい」といった側面を忘れてはならないのだ。AmazonのOmotenashiを心地よく感じるのは、そこに「たしなみ」や「ふるまい」の気配があるからだと思う。


「買ってくれ」といわれて「はい、そうですか」と素直に買う人は、もはやどこにもいない。自分のために手間をかけてくれているのだな、とわかったときに人は快く買い物をするのだ。ただし、それも押しつけとなっては逆効果である。そのあたりのバランスの取り方が、Amazonは極めてうまい。だから Amazonでの買い物は心地よい。


Amazonは、日本流の「おもてなし」をグローバルネットの時代にふさわしい「Omotenashi」にブラッシュアップした。これはAmazonが秘かに進める革命の一つなのだと思う。